2014



Time Travelers



 "Time Travelers" 

ここに描かれている鹿、木々の葉、苔などそれぞれは、別々のときに出会ったものです。一つ一つの個体はそれぞれの時間を生き、偶然か必然か、それらの時が、一つの場で交差した場面です。
見方を変えれば、太陽の光は、土を温め、植物を育み、その植物を鹿が食み、そのフンはまた土となり…と、長い時の視点で見れば、それぞれは関係を持ってそれぞれの身体となる。つまり全体として一つである。
また別の見方をすれば画面上では、苔と土、苔と木、また木々の葉と光に境界線はなく、そこにあるのはグラデーション、あるいは色。ただ人が認識のために分けていたのものが本来多様につながっている世界。
苔も木も鹿も葉っぱもそれぞれの時間を生きている。私たちはそれぞれ個々の時間を生きている。が、今この時は世界中で今だけであり、時の同一点上にすべてがある。
絵画は、行為の堆積。時間の堆積。ひとつの画面上にそれぞれのばらばらだった時間が入り込み、それが一瞬になる。



gute reise



'Deer -sense-'  

鹿(彼らは人と仲良くやっているが野生の鹿である)がたくさんいる公園で、木陰にすっと光がさし、この鹿と目と目があった。何かの啓示のように美しいと思った。表面的なことではない美しさ、そこにあるそのままを肯定するような事。
 

 

gute reise



'生芽(はぎ)' 

「生芽」とは萩の語源で「はえき」と読む。萩は秋の季語で、鹿とともに万葉集に多く読み込まれている。もともと別の絵の一部として描き始めたこの絵は最終的には、萩でいっぱいに埋め尽くされ、ところどころに虫たちもいる。 この絵ではいくつものイメージが重なっている。多重にレイヤーが重なった記憶の一つの形態、あるいは世界の認識の形の一表現。


 

 

Turn to reality



"Turn to reality" (個人蔵)
 
タイトルは「現実化する」の意。
イメージを描くことで、実在のものとする、絵画活動はおもしろいと思う。
現実の世界もこれに似ていると思う。
見ること、関係性や時間軸、よりミクロにマクロに、しっかりと見ることを通して、そのシステムの構造を理解してく事の連続なのだと思う。
イメージを現実化することで外化し、それを見た他者に入り込んでいく。そんな風に内と外、他者の意識と、混ざり合って世界はできているのだと思う。
 
 

drops




 "Drops"(個人蔵)

 

 美しいクリスマスローズに滴る水を見ていたら、泣いている女の子みたいだと思った。「泣いている女の子」のイメージは、世界中の女の子。やまない雨はないし、雨は、水は、恵みでもある。今は泣いていても、明るい未来はすぐそこまで来ている。未来が分かっているからこその涙。





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